2010年12月17日金曜日

プロの仕事

いわゆる映像制作の「業界」のひとつであるCM制作業界に入って、
「あぁ、やっぱりプロの世界ってすごいなぁ」と思うのは、
個々の能力でもクオリティでもなく、
自分の仕事に完璧に専念できる仕組みになっていること。

過程におけるそれぞれの目的すべてに専門家がいて、
その人たちが自分の専門に専念してひとつのものを作り上げるから、
仕組みとして「妥協」がない。

たとえばひとりでいくつもの役割を掛け持つ個人の映像制作では、
監督がロケ地探しや資金のやりくり、カメラを回すことまでマルチにやったりする。
その総合的にものを見てしまう視点が、時に妥協を生む。

ロケ地がここしか見つからなかったから、ここでいいか。
機材にここまでのお金は使えないから、特機はあきらめて普通に三脚の画にしよう。

というような、最終的に作品のクオリティに関わることまでを
あきらめなければいけない、あきらめてしまうということが多々ある。
これは熱意が足りないとか、もっとガツガツいけば!とかそういうことではなく、
実際に合理的に進めると起きてしまう避けられない事態だと思う。

そころがCMの世界では、監督はクオリティの高い作品を作るという
目的だけに特化させて仕事をするようになっているため、
現実的にそこで撮影ができるかとか、予算が足りないとかいった縛りから
一旦解放されて目的のために最適な方法を考えることができる。
また一方では、ロケ地や予算などの縛りは現実的に作品を完成させるという
目的に特化されたプロデューサーや制作進行がそれに特化して動くため、
最終的にその「最適」同士がすり合わされて、もっともよいクロスポイントに
着地するという仕組みになっているのだ。

この仕組みこそが、「それを生業にしているか?」とかいうことよりもずっと、
プロをプロにしている最大の要素だと思う。